こんにちは、そうまです。
暑い毎日ですね。
お腹の調子はいかがですか?!
お腹の調子を整える上で、「健康的な生活を送ること」がベストですが。
時々、息苦しくなってしまいませんか。
そんな時は、少し発想を変えてみましょう。
それは、「不摂生な生活をしないこと」に重点を置いてみることをおススメします。
お腹が張らないようにとすごく食事に気をつけているのに、いつも睡眠不足であったりしませんか?!
それは、「ブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいる」ことになっているかもです。
健康的な生活にしなくては!と思うと、なかなかのプレッシャーがかかります。
ストレスでプチ暴発してしまうのではなく。
すごく当たり前のことを毎日積み上げていく。
…少し理想論になってしまいましたが、そんな考えもあるのかと思っていただけたら嬉しいです。
さて、今回は。
「私はIBSかもしれない」と思ったときに、病院を受診してしっかり診断してもらって欲しい!
という話をしたいと思います。
今はネットやSNSで、たくさんの情報が手に入る時代になりました。
IBS(過敏性腸症候群)は若い方が罹患することが多いので、情報を素早く仕入れる方が多いでしょう。
でもIBSの自己診断は、ちょっとだけ待ってほしいな、と思っています。
なぜかと言うと、みなさんが抱えている下痢や便秘・腹痛やガス腹の原因が実はれっきとした疾患から生じている可能性があるからです。
私が医学生の頃、「IBSは basket diagnosis なんだよ」と習ったことがあります。
直訳すると「ゴミ箱診断」です。
私がググってみると、このワードはあまり出てこないのですが。
要するに、過敏性腸症候群の診断は「すべての他の病気が除外されたときに、初めて診断されるもの」ということです。
Basket diagnosis の、何となくのニュアンスを知ってもらえたら嬉しいです。
お腹の痛みや張り、下痢・便秘。
症状が長く続いて、よくなる気配がない。
どうもストレス時に症状が出ている。
これらはIBSの典型的なパターンですね。
それでも私は、自己診断でIBSと決めてしまわないで病院で診断してもらうことをオススメします。
IBSに似た病気。
また、思いもよらない隠れている病気がIBSに似た症状を引き起こしていることがあります。
病院で、まずは「問診」を受けましょう。
聞かれてみると、自身で思いもよらなかった意外な生活歴が浮かび上がってきます。
便の回数・便の形、血が混じるか。
海外渡航歴はないか。
サプリメントを飲んでいないか。←コレ意外と大事。
焼肉や焼き鳥を食べなかったか。
そして「採血」を受けましょう。
貧血や炎症反応があることがあります。
ダークホースなのが、甲状腺疾患です。
これは医師でも、ノーマークになりやすいところなのです。
下垂体や副腎疾患のこともあり、かなりマニアックな採血項目にはなりますが、一度は知っていて悪くないと思います。
(今、身体への侵襲や負担がが少ない順に書いてます。)
次に「便検査(便培養)」。
食中毒の細菌であったり。
抗生物質の使用歴も、問診で話したほうが良いです。
そしてハードルが高い「大腸カメラ」です。
キツイ、苦しい、と悪いウワサの多い大腸カメラではありますが。
カメラが上手な先生、そして適切な鎮静剤を使ってくれる医療機関を選べば、キツくはありません。
大腸カメラで得られる情報も、とても貴重です。
比較的年配の方であれば、もちろん大腸がんの可能性も出てきます。
…ここまで調べて、お腹や便の症状を引き起こす病気がないことが分かって。
初めてIBSは診断されるのです。
けっこうな時間やお金がかかるので、ちょっと怯んでしまうかもしれません。
ただ、IBSは罹患期間の長いものです。
意外な病気が途中で見つかれば、それを治療すればツライ症状から脱却できます。
IBSは比較的若い年代に発症する症候群です。
40〜50歳代では、IBSの患者さんはだんだん減ってくると言われています。
IBSは症状を改善するのになかなか難しい病気です。
私の印象ですが、IBSを克服した方はやはり病院をしっかり受診しています。
そして、症状を良くしたいと思う「執念」かなと思っています。
その執念は、客観的な他の疾患が見つかるキッカケにもなりますし。
Basket diagnosisで最終的にIBSと診断されても、どうにか良くする鍵を見つけている印象があります。
もちろん、手間ひまと金銭的な負担がかかりますが。
IBS症状と真剣に向き合うための初めの一歩として、病院に行きましょう!
みなさまがIBSのツライ症状から抜け出せることを、心から願っています。
ではまた!
【執筆者】
相馬 渉
大分県で、お腹の不調を専門に診察している消化器内科医。 病院やクリニックで、診療が難しい患者さんの症状を診ることが好きです。
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