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漢方薬は、IBSの救世主となるのか?!

更新日:2022年10月31日

そうまです。


今回はIBS(過敏性腸症候群)漢方について書きたいと思います。




IBS に罹っている人にとって、 IBS は付き合っていくのがとても難しい疾患、というイメージはありませんか?!


実は医師にとってもそれは同じなのです。


IBS ほど診療が難しい疾患はないと、私は感じています。




医師の仕事は、症状を聴いてそれに合わせたお薬を出すことです。


でも IBS の場合は、お薬がなかなか効かない。


患者さんはお腹の調子を良くしたくて、治らなくて不安で病院に来ている。


両手を挙げて降参、って正直言いたくなることもあります。


皆さんも医師から手がつけられない感を出されたり、場合によっては突き放されたりして悲しい想いをしてきたのではないでしょうか。




私も IBS 診療にとても難渋してきました。


何より、患者さんが満足していないことが顔を見たら分かるので、私自身も残念な気持ちになることが多いのです。





そこで IBS のような目に見えない疾患、そして治りにくい疾患に対して光を見出せるのが「漢方」ではないかと思うようになりました。


皆さんは漢方薬ってどのようなイメージを持っていますか?!


漢方薬は胡散臭い、効かない、苦いってイメージを持つ人も多いかと思います。


漢方については筆者の思い入れが強いのでまた別のコラムでも書きたいと思いますが、漢方は IBS のようななんとも言えない難しい疾患に対して診療を継続する有能なアイテムだと思っています。




西洋薬は症状や疾患に対してピンポイントに狙い撃ちして直すものです。


当たりが間違いなければ切れ味良く、即効性があります。


でも当たりがあまり正しくない場合には、もちろん効果は出てきません。


IBS に対してはその当たる確率が非常に低いのです。


漢方薬は、ピンポイント的な即効性のあるものは少ないです(実はあるっちゃあります)。


でもお腹の調子の基礎力をつけるという、長―い目で見た時には漢方薬は皆さんの味方になってくれるはずです。




具体的にはツムラ60番の桂枝加芍薬湯を出すことが多いです。


桂枝加芍薬湯は、身体、特にお腹を温めて緊張をほぐしてくれるお薬です。


どうでしょう、西洋薬と作用が違う感じがしませんか。


西洋薬がピンポイントの症状改善作用があるのに対して、漢方薬は元々の身体の偏った性格を正しい方向に修正しながら症状を改善していくものです。





IBS の皆さんは症状に悩んで思い詰めることもあるかと思います。


時には自分の性格や考え方が症状を作っているのではと、何となく気づいているかもしれません。


漢方薬はそのような体質を改善することに適しています。


IBS を良くすることに、漢方薬がとても寄与する感じがしてきませんか?!




でも漢方薬には難関があります。


「苦い」ことです。


私は漢方薬が大好きで場合によっては水なしでも飲めますが笑、皆さんにとっては漢方薬の苦さが耐えられないこともあると思います。


60番の漢方薬に抵抗がある場合には、ぜひ99番の小建中湯を試してもらいたいです。


小建中湯には60番の漢方+飴が入っていて飲みやすいのです。


元々胃腸が弱い小児に出す漢方薬なので、漢方薬が苦手な方にぜひ試していただきたいものです。




漢方薬については、とっても面白いお話もたくさんありますので、またの機会に書きたいと思います。


 

【執筆者】

相馬 渉

大分県で、お腹の不調を専門に診察している消化器内科医。 病院やクリニックで、診療が難しい患者さんの症状を診ることが好きです。


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